3歳~6歳位の幼稚園時代は“意志の力”と“仲間と共感する力”“対話力”を獲得していく時期です。この力は将来、「社会人になった時」に、そして、「幸せに生きていく」為には、絶対に必要な力です。
毎年、4月~6月のこの『育ちの芽』では、乳幼児期のこれらの力を獲得していく道筋を保護者の皆さんと確認し合っています。
佐々木先生に学ぶエリクソンの発達課題の6歳までの三つの発達課題について確認します。
①「基本的信頼感」の獲得 (0~2歳)
②「自律性」の獲得 (2~4歳)
③「意志の力」「共感力」の獲得(3~6歳)
佐々木正美先生は、最も重要な発達課題である「基本的信頼感」が人生の一番に最初にあると言っています。基本的信頼感(自己肯定感/自尊感情)は下記のような実感・感覚で
・子どもが両親(母)との間に強い情緒的絆を
形成する中で、自分が両親(母)から愛され、
大切にされている、そして、無条件に十分
に、永遠に愛され続けるという実感
・この世に対して抱く信頼感「この世に受け
入れられているんだ、信頼してもいいんだ」
と感じて安心できる感覚
そして、この基本的信頼感を獲得できれば、人は“一生、安心して生きていける”と言っていますが、獲得できなければ、危機的な人生を迎えるとも言っています。では、基本的信頼感をどうしたら育むことが出来るのか?『我が子に最初にすべきことは何か』を確認しておきましょう。
佐々木先生は以下の様に言われます。
子どもは、お母さんを徹底的に信じるところ
から、自分の人生が始まります。これが基本的
信頼感のもとです。ここで、お母さんのことを
どれくらい信じることが出来るかが、その後、
自分をどれくらい信じることが出来るかにつな
がっていきます。そして、お母さんに対する信
頼を基にして、そのほかの人を信じることが出
来るようになっていきます。
お母さんを徹底的に信じるには、お母さんが
“そのままのあなたで良いよ”というまなざし
で、“子どもが望んだことを望んだように、望
んだだけしてあげる”。しかも、“喜んでしてあ
げること”はとても大切なことです。
子どもが望んでいることをきいてあげたから
と言って、自分で出来ない子になってしまうこ
となどありません。
お母さんに頼めば、たいていのことはいつで
もやってもらえるということが、子どもに充分
に伝われば、その後は自分でどんどんやり始め
ます。
繰り返しますが「母親が我が子に最初にすべきこと」は、“そのままのあなたで良いよ”というまなざしで、“子どもが望んだことを、可能な限り、望んだように望んだだけしてあげる”しかも“喜んでしてあげる”ことで基本的信頼感は育ちます。
しかし、最近、私がとても心配していることは、習い事が低年齢から流行り過ぎていることです。
佐々木先生から28年間、耳にタコができるほど、繰り返し教えられて事があります。
『いいですか皆さん、これはカウンセリングのイロハで教わることです。親がどんなに子どもの将来のことを思っての事だとしても、習い事などが過剰期待になれば、子どもが親から受けるイメージは“拒否”です。「父さん母さんは水泳が下手なあなたでは受け入れられない」「成績が良くなければ、認められない」「英会話が出来ないあなたは嫌なんだ!」ということを伝えているのと等しいのです』
今のままの自分では親に受け入れてもらえないと言われた子が、自分に自信など持てるはずがありません。
つまり、基本的信頼感を育てる“そのままのあなたでいいよ”と言うまなざしと真逆の行為になってしまい、自分を信じる力を失っていきます。
「かけっこがビリだって良いよ。成績が悪くてたって良いよ。そのままのあなたでいいよ。あなたは世界でたったひとりのお父さんとお母さんの大切な子」
そんなまなざしが、自分を信じる力が豊かな子を育てると強く感じています。
2022.4.山田 昇
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